生物

牛や鹿は常に北を向く? 磁力を感じる能力の不思議

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放牧中の牛や休憩中の鹿の多くは、北か南を向いているらしい。

ということは、牛や鹿を見れば方角がわかるかもしれない。

昔読んだ「金田一少年の事件簿」では、木に苔が生えている側が北だ!と言ってました。これは北側は常に太陽が当たらず湿っており、苔が生えやすいからです。

 

どうしてそんなことがわかるのか、それは調べた人がいるのです。

2008年にチェコとドイツの研究チームが、8,510頭の牛と2,974頭の鹿の向きを調べた結果、東西よりも南北を向いていた割合が多かったと発表しました。

牛に関してはグーグルアースの衛星写真から、鹿に関しては草を食べたり休んだりしている時の向きや、雪の上で寝た跡を調べたそうです。

 

南北を向く原因は「地磁気に反応している」可能性があるとのこと。(ただし、どうして地磁気を検知して南北を向く理由はわかっていません。)

地磁気とは地球が持つ磁性(磁気)のことで、北極部がS極、南極部がN極に相当します。そのため、方位磁石で方角がわかるんですね。

そして、地磁気の南北は地図の南北と一致しておらず(約10度ずれています)、今回調べた牛や鹿の向きは地磁気の南北に近かったそうです。

この地磁気は、鳥類やカメ、シャケなどが移動に利用していることは知られていますが、ウシが同様の体内コンパスを備えていることがわかったのは今回が初めて。

そのほか、犬がおしっこやうんちをする時も高い確率で南北を向いているという報告もあるみたいです。(私も犬を飼っていましたが、そんなことはなかったような…)

 

そして、どうやって地磁気を検知しているのでしょうか?

それは「磁場を直接見ている」らしい。

「クリプトクロム」と呼ばれる、網膜細胞内内にある光を感じるタンパク質があって、それが磁気に反応して磁気コンパスのように振る舞うとのこと。

つまり、「色を見る」のと同じように「磁場を見る」ことができるらしい。

なかなか想像することが難しいですが、人間には見ることのできない「赤外線」や「紫外線」を見ることができる生き物も存在するので、磁場が見える生き物がいても不思議ではないかもしれません。

このクリプトクロムはハトや蝶やネズミ、クジラの網膜細胞から見つかっており、なんと人間からも見つかっているのです

「私たち人間には磁場を直接感じる機能はない」というのが通説でしたが、ヒトにもごくわずかですが、クリプトクロムは存在していることがわかりました。

しかし現時点では、「恐らくヒトの場合、クリプトクロムそのものは問題なく正しく磁場を検出しているにも関わらず、そのあとの磁場シグナルの伝達機構に問題がある」とのこと。

つまり、「磁場を感知する能力」は持っているが、それを利用できないみたいです。ざんねんです。

と、話がそれてしまいましたが、今後牛や鹿を見るときは、南北を向いているかを確認してみるのも面白いかもしれませんね。

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